社長の息子として生まれて・・・
俺は社長の息子として生まれた。
新潟県上越市の土建業、森田商事(株)の息子として。。。
しかし・・・
オイルショックのあおりから来た建設業の下火化に伴い、
俺が小5の時に不渡を出し、倒産。
家や田畑が差し押さえられたが、
株主さんがよくしてくれて、となり町に家を用意してくれた(土地ナシ)。
( 確か、その人のことを『頼み士』と呼んでいた覚えがある )
俺が小学校低学年の頃は景気がよかったようで、
本屋さんの格好のお得意さんになっていて、
毎月、何冊か本が届けられてきていた。
百科事典・世界名作童話・たのしい算数・小学○年生・テレビくん・・・
俺は「勉強をしろ!」と言われた事は一度も無い。
ただ、自分で学ぶ環境が出来ていただけ。
百科事典を雑誌感覚で見ていた記憶がある。
森田商事(株)の創立者は祖父である。
下駄屋さんから始め、その後の高度成長の波に乗りながら
ダンプカーを5台くらい、ブルドーザー2機、
ユンボ1機を保有するくらいの規模にまで成長していた。
運転手さんも何人もいたなあ。
よく運転手さんにダンプカーに乗せてもらって
あちこちに連れて行ってもらった気がする。
小4の時に祖父が天へ召された。
それを機に取引が崩れるように減っていった。
そして、その一年後に経営破綻。
小6のある夜、すでにニ階の子供部屋に一人で寝ていた俺。
ある夜、1階の居間からすすり泣く声が聞こえた。
父が酔いどれて帰ってきて、一人泣きをしていた。
とても寂しそうに聞こえた。
居間のとなりの座敷に寝ていた祖母が起きてきて、
二階の俺の部屋にやってきて、こうつぶやいた。
「いいか!絶対 商売人にはなるな」・・・と。
祖母は俺が28歳の頃から寝たきりになり、
翌年、89歳で天に召された。
俺は28歳の時にうつ病になり、会社を一ヶ月休んだ・・・。