The Day 尾崎 (3)

20年前の追悼式の日。
あの日は異様に寒かった。



まだ24歳だった俺は、彼女と、そして新潟からわざわざかけつけた妹と3人で長い列に並んだ。



護国寺がどこにあるのかもわからない僕らはただ、
いつかたどり着くと信じて、
冷たくて少し斜め気味の雨を天の涙と擬人化したりしながら、ただただ前に進もうとしていた。



やっとたどり着いた時、一人一輪の白菊が用意されていた。
TVで見たとおりの巨大な遺影スクリーンへ献花してから、周囲の歌声に加わった。
何を歌ったのかは、全く覚えていない。



ずぶ濡れで寒さに耐えられない気持ちが、
喪に服する気持ちを支配した次の瞬間、
僕らは護国寺をあとにした。






没後まる20年めの翌日の今日、
あの日と同じような雨が降っています。